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 引用039 『マルドゥック・スクランブル 排気』


 ウフコックがそれ以上何かを告げる間さえなかった。さっと首の後ろに手を回し、両手袋が背中でつながっていた接合部を外した。首の付け根で、はらりと布がはだけた。
 右手で左の二の腕をつかみ、ゆっくりと、腕を撫でるようにして下ろした。
 いつか客の要望でそうしたときのように。見せつけるようにして。

 剥き出しになったゆで卵みたいな肌が、つるりとあらわになった。それから右の手袋も外すと、綺麗に重ねてテーブルに敷き、その上に、素肌の腕を組んで乗せた。
 素肌の腕が、場を鋭く感覚した。ひやりとした感じだった。

 バロットはそれを、自分のの心が冷たく鋭くなる感覚なのだと思った。
 生きるか死ぬかという凄惨な覚悟に、自分の心が冷たく浸されてゆく感覚だった。
 それから、凍るような眼差しで、目の前の男を、まっすぐに見据えた。
≪私は、そんなに殺しやすく見えますか?≫

 アシュレイ・ハーヴェストは答えなかった。ただ、ゆっくりと、大きくうなずいた。質問の答えではなく。むしろ、ようやくバロットの顔が見えた、とでもいうように。

  冲方丁/『マルドゥック・スクランブル 排気』pp.164-165





2010⁄12⁄20 21:00 カテゴリー:引用、もしくは考えるべきこと comment(0) trackback(0)











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