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 That's my soul up there


braban


津原泰水 / ブラバン

 ええ、ええ。あのウクレレのG線を弾く描写に1ページ近く割く(弾いたキャラクタの漏らす言葉が「鳴るね」ってのがまた渋い)津原泰水が音楽を描いた小説です。そりゃあ素晴らしいに決まってますとも。

 ……なんてことをイタバシさんと話していて「でもだからこそ期待が大き過ぎる気がして読むのが怖い」という意見の一致をみた。俺はついに禁断の領域に足を踏み入れちゃうぜ。図書館から借りた本だからポストイットは挟むまいと思っていたのに、読み終える頃には本の頭からモジャモジャ。

 丁寧に高校時代の思い出を織るそのジェントルな手つきに溜め息が出ちゃう。涼風のように飄々としていて、奇跡のように瑞々しい。もう登場人物紹介の欄に目を走らせただけでこの本が大好きになってしまうのだぜ。

 ストーリーは高校時代のブラスバンドを40歳前後の連中が再結成させるというもの。現在と過去を行きつ戻りつしながら進む話の甘いこと苦いこと。煌くような過去の話が麗しいのは勿論のこと、時間の砂がわりと沢山降り積もった感じの現代のパートも、どこか凛と透明で、不思議と腑に沁みる。

 そして随所に顔を覗かせる、音楽の威光の目を射らんばかりの眩さ! なんという崇高! なんという郷愁! 予め失われた故郷の残り香をたぐるような、甘やかで息詰まる描写ときたらどうでしょう! 思うに。津原泰水を彼たらしめているのは、その見事な文体よりも、むしろ信仰の強度じゃないだろうか。ときおり氏の小説は、小説の名を借りた激越な祈りのようだ。

 にもかかわらずニュースは、それまで確固としていた世界が傾斜しはじめたような感覚を僕に与えた。僕が信じていた世界は、才智や芸術に対してはそれが少々独善的であろうとも寛容で、過大評価すらならともかく息の根を止めるはずなどなかった。ジョン・レノンは絶対に安全なはずだったのだ。

 津原泰水『ブラバン』p.211

 ちなみに8年間少女小説を書いていたという津原泰水の、そのシリーズをイタバシさんは持っているらしい。誰に向けたものとも思われない、その妙に複雑に入り組んだプロットを聞くにつけ、そりゃあ神経もぶっ壊れるよなぁと思った。





2007⁄10⁄25 23:46 カテゴリー:白昼夢のような日々 comment(2) trackback(0)











コメント



ああ、そういう小説なのね。
じゃあ読んでみる。
図書館で試しに読んでから、じゃなくて、もう、購入しちゃう。

>少女小説
引退作品となる「ささやきは魔法」の後書きで
本人が男性だとカムアウトするまで、
後書きで性別が特定されるようなことを一切
書かなかった人だしねえ。
(2007/10/26 11:35) URL | バ[ 編集]


ぶは、シンドかった!

バさん>

買っちゃえ!
ポストイットでゴワゴワにしちゃえ!

やすみさん、
「男が嫌いで男に媚びる女が嫌いな女」
って感じがするもんなぁ。
(2007/12/08 12:29) URL | ゆ[ 編集]



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